2023年7月下旬
S_boxはバイアンプ接続をしています。
構成は、
EN15(ステレオ2ウェイ型チャンネルデバイダー)
→高域用アンプ→ツィーター(S_box)
→低域用アンプ→ウーファー(S_box)
となっています。
バイアンプ概略配線図と構成機器 |
⑦ EN15(ステレオ2ウェイ型チャンネルデバイダー、Fostex)
⑧ 高域用アンプ_AP15d(Fostex)
⑨ 低域用アンプ_YD-30BHⅡ(YUDIOS)
・スピーカーユニット
ウーウァー:OM-OF101_Ontomo Mook(ONKYO)
ツィーター:DC25T-8(Dayton Audio)
当初はクロスオーバーフィルタ使用の2ウェイを考えていましたが、ウーファー2個使いでの音圧が不明な事と音圧が強く性能の良いツィーターが見つからなかったので、仕方無くバイアンプ接続にしました。「● S_boxの製作(旧T_box)」の時と機器構成は変更しています。
<基本情報>
・S_box
エンクロージャー: 13.2ℓ
サイドバスレフ
バスレフダクト:ℓ80mm
共振周波数:60Hz
・スピーカー
ウーウァー:OM-OF101_Ontomo Mook(ONKYO)
インピーダンスは6Ω、2本並列接続なので、合計インピーダンスは3Ω。アンプ出力の適合インピーダンスは4Ω〜16Ωです。定格外だけどちゃんと鳴ってます。
ツィーター:DC25T-8(Dayton Audio)
(6.8μFのコンデンサーだとクロスオーバー周波数は2.92KHz)
ツィーターの周波数レンジは3k〜20kHz。3kHz以下でも鳴ってくれました。
下記はSonic Toolsの各バーの詳細です。数字はまるめてあります。
(1)EN15(ステレオ2ウェイ型チャンネルデバイダー、Fostex)
これがキモとなります。
クロスオーバー周波数が1KHz〜6KHzの間で連続可変できます。
減衰率は −12dB/octです。
調整ツマミの赤字は指定済み。
(1KHz、2KHz、4KHz、5KHz、6KHz)
大体の目安との事です。
他のものにも数値を均等に割振ってみました。( )内水色。暫定です。
・連続可変(1KHz〜6KHz)
Crossover 調整ツマミを連続可変(1KHz→6KHz)した動画です。12時でピークホールドをリセットしてます。最初の方で940Hz、1.1kHzのバーが一番凹んでいます。凹みは推移して1.3kHz、1.5kHzまで進んでいます。ツマミは12時前あたりでした。ツィーターにハイパスフィルター(クロスオーバー周波数は1.32KHz)を取付けているので、この影響があるようです。
・ウーファーとツィーターの比較
ウーファーのみに接続した周波数特性とツィーターのみに接続したものを比較。Crossover周波数を各々の目盛で調べてみました。
・低域は大きく下げている直前(低域側)のバーを記録。
・高域は大きく下げている直前(高域側)のバーを記録。
バー(周波数)の特定は相当微妙な感じです(^^;
7、9、10、11、12、13、14時のものを表示しました。
07時_比較 |
>07時_比較
・低域:1.1KHz
・高域:1.3KHz
→1.2kHz
※ハイパスフィルター(1.32KHz)の影響もあるようです。
低域と高域(9時) |
>09時_比較
・低域:1.7KHz
・高域:1.5KHz
→1.6kHz
低域と高域(10時) |
>10時_比較
・低域:2.1KHz
・高域:1.7KHz
→1.9kHz
低域と高域(14時) |
>14時_比較
・低域:3.0KHz
・高域:4.7KHz
→4.0kHz
※周波数の特定は難しくかなり微妙。
※これ以降の「15時_比較」と「17時_比較」は「14時_比較」とほぼ同じでした。
この結果を以下の図にしました。
・調整ツマミの数値を再設定
水色が測定結果です。調整ツマミ、赤字は指定済み。(1KHz、2KHz、3KHz、4KHz、5KHz、6KHz)
7時〜14時は指定済み(赤字)のものと大差ないようです。14時以降のものについては14時〜17時の幅が1kHzと少なく変な感じがします。14時〜17時のクロスオーバー周波数は4.0kHzと低かったです。
周波数の特定は難しくかなり微妙です。マニュアルにも書いてある通り「大体の目安」です(^^;
(2)2本のウーファー同士の干渉
2つのSP間の周波数の干渉は
理屈では
波長=340/周波数 (20℃の場合)
ウーファー センター同士間の距離:21.5cm
これを波長とした場合、
この時の周波数:1.58KHz
となります。
まぁ、このあたりの周波数で何かがおこりそうな感じがします。
ちなみに、ツインウーファーのSP-G300のクロスオーバー周波数は1.5KHzです。
パイオニアのバーチカルツイン(S-PM50、S-PM30)のものは750Hzです。2つのSP間の干渉周波数を避けてツィーターで対応しようとしてるようです。このような低い周波数に対応するツィーターって市販品にあるかなぁ。
まずは、ウーウァー OM-OF101の基準として1本で鳴らした場合を計測しました。
・シングルSP
1.5kHzあたりに凹みがあります。リスニングルームの影響もあるかと思い、場所をかえたりL、Rを変えたりして計測しましたが同じような状況でした。これはこのユニットの特徴かエンクロージャー内部の定在波の影響かな?
次に、ウーウァー OM-OF101 2本で鳴らした場合の周波数特性を見てみます。
・ツインSP
1.3kHz、1.5kHzあたりに凹みがあります。干渉がありそうな周波数が1.58KHzで、ユニットの特徴とほぼ同じような傾向で、ちょっと困ったなぁ、という状況です。凹みは1.3kHz、1.5kHzと幅が少し広がってるようにも感じます。
(3)適切な設定
・聴くのにちょうど良い加減(個人の好み)な設定の周波数特性
周波数特性 cross 11時
クロスオーバー周波数は2.2kHz(11時)付近です。
低域の低い方では、75Hz、84Hzの盛り上りが最大です。ここから低い方に徐々に音圧が下がっており53Hz、60Hzは十分ですが、42Hz、47Hzあたりは弱い感じです。
中域の1.3kHz、1.5kHzあたりに凹みがあります。これはウーウァーユニットの特性に似ています。またウーウァー同士の干渉(1.58KHzあたり)も影響してるかも知れません。いずれも特定できません。
高域はツィーターの影響でウーウァー OM-OF101 1本のときより音圧が高く、なだらかです。7.5kHz以降ではなだらかに下降しています。
全体では、中域の一部で凹みはあるもののなだらかな周波数特性です。
いつもの試聴用音源で聴いたところ、低域はSP-G300には及ば無いが、十分に鳴っています。低域の低い方にやや物足りなさを感じます。中域について、過不足は無いですが、楽曲によってボーカルに華やかさが少ないと感じることがあります。聴き込まないと分からない程度で、トーンコントロールの微調整で解消できるかと思えます。高域はツィーターの影響で華やかさが増しました。高域の調整は専用アンプのボリュームで簡単です。
<まとめ>
・EN15(ステレオ2ウェイ型チャンネルデバイダー)はウーファーとツィーターの性能を気にせず選べるので、有効な機器です。
・EN15のクロスオーバー周波数の目盛について、低い方は正確だが、高い方の4kHzあたりから微妙になる。
・ウーウァー OM-OF101の周波数特性(1.5kHzあたりの凹み)と2本のSPの干渉周波数(1.58KHzあたり)が近く判断が難しい。ウーウァー同士の距離を再検討する必要がある。EN15のクロスオーバー周波数の設定はこのあたりを避ける必要がある。
・バイアンプは、特に高域全体をアンプで簡単に調整できるので便利です。
・EN15とは関係しないが、S_boxの低域の低い方には物足りなさを感じる。