● バスレフダクトのはなし

2022年7月下旬

<バスレフダクトいろいろ>

 バスレフ形式のSPの場合、低域の調整には頭を悩ませられます。設計通りにはなかなか上手くいきません。ピンクノイズとスペアナで計測したり、試聴音源を聴いたりしてダクトの長さを変えながら、試行錯誤をします。そんな時、ものぐさな私は簡単にバスレフダクトの長さの調整が出来ればいいなぁ!なんて考えながらやってましたが、大体こんなものかなぁ...というものが出来つつあるので記録がてら公開することにしました。市販品、VU管、VP管などを使って試行錯誤した結果です。

 定まったエンクロージャーの共振周波数は円形のバスレフダクトの場合、内径と長さで決まります。スピーカーのサイズにもよりますが、共振周波数60Hz〜100Hzあたりで調整出来るように内径と長さを決めます。長さは微妙で、あまり長くならない、短くもならない、というあたりで内径を決めます。ちょっとあいまいなものですが...(^^;

・下記は、おおむね実際にやってみたものです。

1)内径40mm以上の場合(φ44、56、71mm)図1、写真4
 VU管を利用します。VU−40(内径44mm)、VU−50(内径56mm)、VU−65(内径71mm)などがあります。この場合、VU管のソケットは短いのでそのまま利用します。ソケットをエンクロージャーに固定し、前面からVU管を入れ替えできるのでラクチンです。音が決まったら内部に移して完了です。

2)内径40mm未満の場合(φ16、25、35mm)写真3、5
 25mm、35mmの場合、私はマークオーディオのバスレフダクト(STBP-25、STBP-35)を利用してます。長さを変えることの出来るソケットタイプです。微調整用に半分に切ったものも作りました(写真3)。
 さらに、写真5のようにフェルトテープを使うとSTBP-25の場合はVP-16を、STBP-35の場合はVP-25を取り付けることが出来、簡単に入れ替えが可能です。

3)VP管の利用(φ13、16、20、30mm)写真6
 VP-13の場合、外形が18mmなので、VP-20にちょうど入ります。写真6のようにテーピングテープを巻くとちょうど取外し可能なダクトができます。
 同様にVP-16でも外形が22mmなので、VP-25にちょうど入ります。STBP-25が無い場合使えます。
 φ20、30mmのものが必要な場合は、VP管のソケットを使います。写真2のようにVP管のソケットは長いので真ん中から半分にカットします。これでLとRができます。これをエンクロージャーに固定します。入れ替えは中からで、面倒ですが仕方ないですね。

図1、塩ビ管(VP管、VU管)の規格
VP管は水道など圧力のかかるものに使用。
VU管は排水管など圧力のかからないものに使用します。

写真2、ソケット各種
ソケットは管同士を接続する部品です。左はVP-30のソケット、右はVU-50のソケット
VP管のソケットは長いので真ん中から切断して使用します。
VU管は短いのでそのまま使用します。

写真3、マークオーディオのバスレフダクト
確かソケットは3個あったかと思います。右端は半分に加工したものです。
木ネジで止めるので外から外すことが出来ます。調整中は2本だけ止めてました。

写真4、VU管を使ったもの
ソケットはどちらでも差込めます。左上は内部から、右上は外から差し込んだものです。


写真5、フェルトテープの利用
比較的すき間の大きい場合、フェルトテープがぴったりでした。


写真6、テーピングテープの利用
すき間が小さい場合テーピングテープが良かったです。
巻き数で調整出来るのはいいですね。
左下:VP-13mmがバスレフダクト、VP-20はソケットがわりです。

写真7、取出し棒
差し込んだバスレフダクトを外から取り出す棒です。
こんな物でも無いと不便。



<バスレフダクトの設置位置>

 バスレフダクトの位置はいろいろですが
1)前:フロント バスレフ
 市販品も含め一番多く使われている形式です。バッフルの左右のヘリにバスレフダクトを設置して「サイド バスレフ」と言っているSPがありますが、「フロント バスレフ」の一種なので「フロントサイド バスレフ」と言った方が良いかなぁ。

2)後:リヤ バスレフ
 SP後部(背面)にある形式です。小さなSPで前面にダクトが設置しにくい場合などで使われている形式です。市販品も比較的多いです。後ろに空間が必要です。

3)下:下部(ボトム)バスレフ
 下部にダクトがあります。採用は少ない形式です。下部に空間が必要なのでSPの大きさが少し大きくなります。

4)上:上部(トップ)バスレフ
 上部にダクトがあります。非常に希な形式です。一度だけ市販品を見ました。下部(ボトム)バスレフを逆さに置くと上部(トップ)バスレフになります。我が小部屋では日常的です。

5)横:サイド バスレフ
 市販品は見たことがありません。SPキットのサイトで一台だけ見ました。


・「小さなスピーカーと音の小部屋」ではフロント バスレフも最初は作っていたのですが現在は下部(ボトム)バスレフとサイド バスレフが多いです。
 フロント バスレフと下部(ボトム)バスレフをサイズとユニットが同じSPで比較した時、下部(ボトム)バスレフに比べフロント バスレフはエコーがかかったように聞こえました(※ 私は音楽ライブのPAを趣味でやっておりエコーなどについては良く接しています)。SPを直ぐに切り替えができる環境でないと分からない程度です。エコーは強過ぎ無ければ決して不快ではないのですが、ダクトから漏れる中高域には少し抵抗があります。
 また、前面のバスレフダクトは目立つのでダクトの穴を上手く処理しないとみっとも無いです(^^;私は上手く処理できる技術が無いなぁ。
 下部(ボトム)バスレフはフロント バスレフとサイド バスレフの中間の感じです。低域の大きさは、フロント バスレフ>下部(ボトム)バスレフ>サイド バスレフです。音の広がりもフロント バスレフとサイド バスレフの中間の感じがします。
 サイド バスレフは試しに作ったO2_box が意外と良かったので、採用が多くなりました。バスレフダクトの方向は外側です。内側にするとベースの音とボーカルの音が中央で被ってしまい、聴きにくいものになりました。方向が外側だとベースの音が全体に響くようになり、あえて言うと小さなライブハウスで聞いているような感じかなぁ(∩_∩)ちょっと盛り過ぎ...(^^;小部屋特有なもので大きな部屋では通用しないかも知れません。


矢印バスレフダクト
O2_box(L側):サイド バスレフ
J2_box:下部(ボトム)バスレフ



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