2023年9月下旬
T_boxが残念な状況になったので、急遽S2_boxの改良をしました。
ツィーターをDC25T-8からT_boxで使用したND25FA-4に変更しました。
これに伴いウーファーの位置を見直したので、バッフル板を新たに追加しました。
S3_boxとしました。
(記事はT_boxからの移植もあります)
S3_box LR正面写真 |
ツィーターND25FA-4に関しては、T_boxでの高域特性が良かったので、移植しました。バッフル板の追加は違和感があるので難しい選択だったのですが、色を強調するデザインでなんとかなったかと思います。色はマホガニー(WATCO oil)です。
S_box概略図 |
S3_box |
R側です。右側面にSP端子(ツィーターとウーファー)とバスレフダクトがあります。仮なので外側にVU管を接続してます。
追加のバッフル板の四隅のネジはバッフル板を留めてるものではありません。棚ダボ(ネジ式)です。裏返して作業する時、ウーファーのフェーズプラグとツィーターのコーン紙が床にあたるので、少し浮かして床にあたるのを避けるためです。ちょっとしたアクセントにもなってます。
・S3_box
外寸:H35cm✖️W27(28.5)cm✖️D28(29.5)cm
約18.6ℓ
(S2_boxは約18.4ℓ)
・使用SPユニット
ウーウァー:OM-OF101_Ontomo Mook(ONKYO)
ツィーター:ND25FA-4(Dayton Audio)
・OM-OF101 諸元表
インピーダンス:6Ω
最低共振周波数:92 Hz
出力音圧レベル:86dB/W(1m)
※ OM-OF101は2本並列接続です。合計インピーダンスは3Ωとなります。アンプの定格は4Ω〜16Ωですが、なんとか鳴ってくれてます。
・ND25FA-4 諸元表
インピーダンス:4Ω
最低共振周波数:1,350 Hz
出力音圧レベル:90dB/W(1m)
再生周波数帯域:2,500 - 20,000 Hz
・引き続きバイアンプ構成です。
2ウェイ型チャンネルデバイダー:EN15(Fostex)
高域用アンプ:AP15d(Fostex)
低域用アンプ:YD-30BHⅡ(YUDIOS)
吸音材とハイパスフィルター |
吸音材は高密度タイプ、t20mmです。S2_boxから見直しました。
ハイパスフィルターもT_boxから移植しました。ツィーターが4Ωなので、結構おおきな容量のコンデンサーが必要でした。足りないので2つ使ってます。計26.8μFです。
クロスオーバー周波数:1.48KHz(−6dB/oct)
制作過程 |
既存のSPの穴を拡大しましたが、カットは結構苦労しました。
これに追加のバッフル板を接着してる状況です。
>測定
測定はS2_boxで詳しく行なっています(「● S2_box(OM-OF101×2、S_boxの改良)の製作と計測」)。測定値はS2_boxとほぼ同じです。ダクト長ℓ70mmに限ってダクト計測と通常計測の測定値を掲載します。L側とR側のSPの間隔はSPユニットで約80cmです。
・ダクト直近の計測です。
ダクト長ℓ70mm。
(エンクロージャーの共振周波数:約54Hz)
340Hz、380Hzあたりに気になる盛り上がりがありますが一番音圧が高い部分とは10dB以上の差があるので、影響は少ないかと思います。
・ダクト直近の計測
ダクト長ℓ70mm_S3_box R側 ダクト計測
・通常計測
測定距離:0.5m
低域の低い方は40Hz台までほぼフラットな周波数特性です。バスレフダクトの影響があるように思えます。中域は凸凹も多いです。1.1KHz、1.2KHzの凹みと380Hzの突出したバーは少し気になります。EN15のクロスオーバー周波数を変更すると少なくなったりしますが、ツィーターに負荷をかけそうで、今後の課題です。高域はなだらかに下がっています。
ダクト長ℓ70mm_S3_box R側 通常計測
>追記
下記はS3_boxのL側のSPの通常計測値です。注目はピーク値(灰色の影)42Hz〜84Hzあたりの低域の状況です。中域に比べかなり下がっています。L側の位置での計測です。
ℓ70mm_S3_box L側 通常計測 |
R側のSPをL側の位置に持ってきて計測しても同じ傾向でした。密閉型のSP(I_box)でも同じような傾向になりました。SPが原因ではないようです。
マイクまでの距離は0.5mです。距離を1m程度にするとこの傾向は無くなり、R側の位置のものと同じようになりました。
小部屋の配置を大きく変え、ブーミングなどの改善がみられたのですが、相変わらずいろんな事が起こります。小部屋の宿命なのかな(^^;試聴距離は1m以上とれてるので、ひとまず、このままで...。
ちなみに試聴位置あたりで計測をしてみました。
L側R側同時駆動、測定距離ℓ1.0m
L+R_ℓ1.0m_S3_box 通常計測_ |
マイク(iPad mini)はL側とR側のSPの中間の位置です。周波数特性は「ダクト長ℓ70mm_S3_box R側 通常計測」と似てます。低域の42Hz〜84Hzあたりのフラットな状況。そして380Hzと1.1KHzあたりの凸凹も同じ傾向です。高域は両者共なだらかに下がっています。
中域の懸念事項は1.1KHzあたりの凹です。計測位置を変えたりしても同じように起こるため、リスニングルームの影響では無く、SPとそれに至る問題かと思えます。下記に影響を与えそうな事項を挙げておきます。
・ND25FA-4の再生周波数帯域:2,500 - 20,000 Hz
(周波数特性では約1,600Hz〜となっている)
最低共振周波数:1,350 Hz
・ハイパスフィルターのクロスオーバー周波数:1.48KHz(−6dB/oct)
・2つのウーファーの干渉が予想される周波数:約1.84KHz(センター間の距離で)
・チャンネルデバイダーEN15の設定:約2.05KHz
チャンネルデバイダーEN15の設定を少し低くすると多少改善しますが、ND25FA-4の能力を考えると厳しいです。
すぐには解決出来そうに無いので、気長に...!
>まとめ
30Hz台の音源は少ないので、OM-OF101には無理させずバスレフダクトは40Hz台の音圧が一番大きくなる設定を目標にしました。結果、ℓ70mmのバスレフダクトとなりました。
・計測
低域は40Hz台までほぼフラットです。30Hz台も音圧は低いですが出てます。中域は所々凸凹があります。今後の課題かなと思います。高域はなだらかに下がっています。フラットにするように高域をあげるとシャカシャカ感が強く試聴には厳しいです。ここら辺りが適切です。私には全体的に好ましい周波数特性です。
・試聴
いつもの視聴用音源を聴いた感じです。40Hz台は出てます。30Hz台の音源は少ないので、なかなか確かめることは出来ません。瞬間的には出てるように感じますが、音圧は低いです。中域は計測で見えてきた課題があります。高域はS2_boxに比べて改善しています。
小規模のライブハウスでのライブで、ベースなどの低い音はステージ全体に響き定位は不確かです。場所によってはライブハウス全体にベースの音が響くこともあります。
S3_boxではサイドバスレフを採用しています。横のバスレフダクトから低域の放出が影響し、定位のはっきりしないベースなどの低域が前面に広がります。ボーカルの定位ははっきりしてますが、スピーカーの存在のアピールは少ないです。実際のライブハウスのようでは無いですが、心地よく聴けます。求めていた音響のようです。
S_boxを試しに拡張したS2_box、そしてT_boxからの移植。S3_boxへの偶然と必然の連鎖が良いものを生みました。一杯やりながら好きな音楽を気楽に楽しめそうです。引き続き試聴と調整を加えていこうと思っています。
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* * * * * * * * * * * * * * * * * * >参考資料* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *