● T_box(OM-OF101×2)の製作と計測

2023年9月初旬

T_boxはS_boxの改良版として設計しました。
久しぶりのフロントバスレフです。

試しに改造したS2_boxよりエンクロージャーの容量は大きいです。

S_box(13.2ℓ)⇨S2_box(18.4ℓ)⇨T_box(21.9ℓ)

S2_boxの改善傾向が良かったので、設計のままT_boxを組み立てました。

T_box完成写真

・使用SPユニット
ウーウァー:OM-OF101_Ontomo Mook(ONKYO)
ツィーター:ND25FA-4Dayton Audio

ND25FA-4諸元表
インピーダンス:4Ω
最低共振周波数:1,350 Hz
出力音圧レベル:90dB/W(1m)
再生周波数帯域:2,500 - 20,000 Hz


・引き続きバイアンプ構成です。


T_box概略図
(5)はバージョンです。5回目の設計のようです。
21.9ℓです。


各種寸法
事前に寸法を決定してます。これが無いと製作困難。結構、苦労します。


事前準備
左は板材です。事前に何度も組み立てのシュミレーションをします。


制作過程
接着が一番苦労します。0.1mmの誤差を目標に組立てます。板がそったりしてるので、思い通りにはいきません。右下は中板の接着状況です。両サイドの板が反っていたのでハタガネで締めてます。


ハイパスフィルター
ツィーターが4Ωなので、結構おおきな容量のコンデンサーが必要でした。足りないので2つ使ってます。
26.8μFで1.48KHzのクロスオーバー周波数(-6dB/oct)です。


>測定

・吸音材無しと有りの場合でSP内部の定在波を計測しました。
バスレフダクト直近です。
吸音材無し・有り
見た目どおりです。吸音材の入れ方は少し変則的です。


ℓ70mm、吸音材無し

ℓ70mm、吸音材有り


ℓ70mm(共振周波数 約50Hz)比較
ダクトの計測値
 バスレフダクトの長さを変えて計測しました。ソケットのみ、50mm、60mm、70mm、85mm、95mm、125mmです。長さによって多少の違いはありましたが、概ね同じ傾向が見れたので、ここではℓ70mm(共振周波数 約50Hz)を比較掲載します。

・吸音材無し:ℓ70mm(共振周波数 約50Hz)
 240・270Hz、670・750Hz、940Hz、1.7・1.9KHz付近に盛り上りがあります。内部の定在波がバスレフダクトから漏れ出てる感じです。
 この定在波を調べてみると
  (T_boxの内寸:H49cm✖️W17cm✖️D27cm)
  定在波        波長      比定される内寸
1)240・270Hz   ➡︎ 約1.4〜1.26m -->>  ? (ー)
2)670・750Hz   ➡︎ 約51〜45cm  -->>    λ   (49cm)
3) 940Hz     ➡︎ 約36cm    -->  1/2λ (17cm)
4)1.7・1.9KHz   ➡︎ 約20〜18cm   -->>  ? (ー)

1)、4)は少しズレてるので疑問ですが、2)、3)はほぼT_boxの内寸に比定できます。内寸(H49cm✖️W17cm✖️D27cm)が要因の定在波のようです。

・吸音材有り:ℓ70mm(共振周波数 約50Hz)
  定在波           波長      比定される内寸
1)600・670・750Hz ➡︎ 約57〜45cm -->>    λ   (49cm)
2)1.5・1.7・1.9KHz  ➡︎ 約23〜18cm  -->>    ?   (ー)

 吸音材有りの場合、盛り上がりは少なくなりました。また、大きさも低域のものより20dB程度の開きがあるので、バスレフダクトからの漏洩は無視できる範囲と思います。吸音材の効果は大きいです。


・通常測定

測定音圧60dB付近
PinkNoise
RTA1/6
窓関数:ハミング
測定距離:0.5m
マイク(iPadmini2):ツィーター正面。
T_box ℓ70mm(共振周波数 約50Hz)

 ソケットのみ、50mm、60mm、70mm、85mm、95mm、125mmと測定しましたが、
70mmが40Hz台が一番大きな音圧でした。なぜか85mm、95mm、125mmでは70mmより音圧は小さく、バスレフダクトを長くしても低域の周波数特性はほとんど変わりませんでした。
 フロントバスレフなので40Hz台の低域がもう少し出ても良いのではと思っているのですが...
 試聴用音源を聴いた感じでは、低域から高域にかけて定位はしっかりし、SPの存在を感じさせてくれます。フロントバスレフの良さが出てるように感じました。低域の低い方の音圧はいまひとつです。全体としては明るくキレの良い音です。

・まとめ

 T_boxはS2_boxに比べ、測定値も試聴も低域に不満のあるものでした。バスレフダクトの共振周波数も設計したものとは逆になったりと???がありました。T_boxのバスレフダクトに問題があるようです。さらに中板の位置も影響がありそうです。
 T_boxとS2_boxとの違いは、1つはT_boxはフロントバスレフ、S2_boxはサイドバスレフです。通常位置の試聴で、音圧はサイドバスレフの方がフロントバスレフに比べ明らかに不利です。これは該当しないようです。
 もう一つは2つのウーファーとバスレフダクトの距離です。T_boxは2つのウーファーとバスレフダクトの距離に違いがあります。また中板の位置も影響してると思いますが、検証困難です。一方、S2_boxでは2つのウーファーとバスレフダクトの距離は等しいです。同じタイミングでバスレフダクトに音圧をかけるS2_boxに分があるように思います。T_boxの低域の音圧が少ないのは、2つのウーファーとバスレフダクトの距離が違うことに原因があるように感じます。
 T_boxのように2つのウーファーと距離の違うバスレフダクトがある構造は、最近の市販のスピーカーで良く見かけます。T_boxのようなことは起こり得ることかと思うのだけど、メーカーはなんらかの技術(構造)でうまく避けているのかなと思います。このT_boxの問題は、私の技量では解決が困難なようです。



>参考資料

SonicTools_周波数バー全域詳細






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